ナイトクルージング.
September 6, 2015
写真家の中平卓馬が亡くなってからずっと探してる原稿があるんだけどどうにも見つからない。それは森山大道が中平卓馬について語った原稿なんだけど書庫を漁れどどの媒体に掲載されたものかさえ皆目検討がつかない。
なんだったかなあ。
おぼろげな記憶を元に書くので正確さを欠いたものになるけれど、内容はこのようなものだった。たしか九州か沖縄でのフォトコンベンション的なものの壇上での発言だったと思う。
その時期、中平さんは病に倒れたあとで写真展示はあったものの会場には来ていなかった。壇上にいたのは確か篠山紀信だったと思う。森山さんは言った。
「この写真展に竹刀じゃなくて真剣で挑んだ人間ははたったひとり中平卓馬だけだ」
その一言に森山さんの審美眼、そして中平さんに対する思い、そして中平さんの写真に対する姿勢がはっきり見える。ちなみに原稿はそれを聞いた篠山さんが苦笑する…といった感じで〆られていたはずだ。
森山さんとは縁あって一度原稿を書かせていただき、夜の新宿クルージングのお供をさせていただいた。あれからいろんなところで僕は個人的に森山大道と交差し続けている。
幼少期に双子の兄弟を失っている森山さんはそれについて「半身を失ったようだった」と自著のなかで記している。盟友・中平卓馬の死はどれだけ森山さんの心を奪っていくのだろう。
最近、なにかの雑誌で森山さんが酒を呑むのを止めたようなことを書いてあって驚いたけれど、こんなときはどうしているんだろう。
そんな安直なことを安ウイスキーを相棒に思う。
写真家について書く文章に合わせる画像などあるわけもなく、今日は画像なしで失礼。
題名はフィッシュマンズから。
森山さんと朝まで呑んだあの日の出来事はすべてが夢、幻のようだった。


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