NO DAMAGE.
January 24, 2015

今年の4月に手術をした。
手術自体が生まれて初めてのことで、さらにあまり症例のない珍しい手術で二度とごめんだというのが結論だ。
隠すことでもないし、言いふらす話でもないけど、簡単に言えば舌の腫瘍を切った(ざっくり舌ごと)。切り取った腫瘍が悪性じゃないことだけが救いだった。
麻酔をしてるから手術中の記憶なんて当然ないけど、その後の痛みの日々は思い出したくもない。俺は『コインロッカー・ベイビーズ』のハシにはなれないといまも心底思っているし、村上龍は舌を切ったあの痛みを確実に知らない(いや、知らなくていいんだけど)。
あれから8ヶ月が経過したけどやっぱり心身ともにつねに安定とはならない。
調子の悪いとき人前にあまり出たがらないのは見栄っ張りだからで、だから調子が優れないときは人に合わないようにしてる。
とはいえ振り返ればこの一年、あれこれやった。前例のないイベントもたくさんやった。いろんな人に会った。
死ぬ気になればなんとかなるよ。でも死ぬ気になんてなりたくないよ。でも、死ぬ気になってやるしかないこともたまにはあるんだよ。
それは10年に一回かもしれないし、明日かもしれない。具合が優れなくてもやるしかない日もあるんだよ。
そんなわけでようやく原稿にそろそろ手を入れ始めようと思っています。
そんな気分になってきたのは切り取った舌がもりもり生えてきたからなんじゃないかと思ってます。
嘘です。
舌がもりもりと生えてくることはないので、だから頼まれなくなって一生足りないこの舌で生きてやります。
みんながみんなそうであるように、足りないなにかとともに生きるように。
だから誰かと生きたいと思うように。それが例え芋掘り専用のロボットであったとしても。
僕にとってもまわりの人間にとっとも決して楽じゃない一年だった。過酷な一年だった。
でも僕たちはちゃんとそのぶん大人になった。舌はなくしたが得たものは大きい。


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